飲食店の円滑な運営や顧客満足度の向上のためには、マニュアルは欠かせないツールです。
店舗ごとに求められるサービスの水準は異なりますが、マニュアルによって明文化しておくことで、調理するスタッフごとに味が変わったり、接客の質にばらつきが生じるといった問題を防ぎ、店舗全体の品質を一定に保つことができます。
特に、複数店舗を運営している場合や、スタッフの人数が多い店舗では、教育が行き届きにくく、店舗間やスタッフ間で業務品質に差が出やすいため、マニュアルによって標準化することが重要です。
さらに、アルバイトスタッフや新入社員が多い場合でも、マニュアルを活用することで効率的な教育が可能となり、品質の向上や顧客満足度の向上につながります。
そこで今回は飲食店マニュアルに必要な5つの項目と、飲食店マニュアルの作成方法についてご紹介いたします。
▼マニュアル作成のメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
目次
飲食店に必要な5つのマニュアル
飲食店では主に、「店舗全体の業務マニュアル」「接客マニュアル」「調理マニュアル」「清掃マニュアル」「商品紹介マニュアル」の5つのマニュアルが必要です。
飲食店では、「Quality(品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(清潔さ)」という「QSC」が特に重視されます。これらの要素は顧客満足度に直結し、リピート率や売上にも大きな影響を与えるため、適切なマニュアル整備が必要です。
店舗全体の業務マニュアル
店舗全体に関わるルールや業務フローをまとめたマニュアルです。開店・閉店時の手順や店舗独自のルールなど、ホールスタッフ・キッチンスタッフに共通する内容を記載します。お店のコンセプトや理念、目指すべき方向性などもあわせて明記しておきましょう。
また、「責任者が不在の場合」「人員不足の場合」など、あらゆる場面を想定したイレギュラー発生時の対応方法についても記載があると安心です。
◆主な内容
・出退勤管理
・開店準備・閉店作業
・備品や現金管理
・緊急時の対応
接客マニュアル
飲食店では、料理の味と同様に接客やサービスの質も重視されることが多いです。業務フローだけでなく、身だしなみ、言葉遣いなど、接客の基本からマニュアルにまとめておくとよいでしょう。
お客様のご案内からお会計まで、時系列に沿って業務内容をまとめると読み手が業務フローをイメージしやすくなります。
◆主な内容
・服装、身だしなみ
・言葉遣い
・お客様の案内方法
・注文の受け方
・料理の提供方法
・会計方法
・電話応対
・クレーム対応
調理マニュアル
飲食店では、調理業務を標準化し、誰が作っても同じ味を再現できるようにすることが重要です。調理手順や盛り付けなどは、写真や動画を用いるとより正確に伝えることができます。
また、食中毒や異物混入といったリスクを防ぐためにも、衛生面のルールや食品の管理方法などについてもしっかりと明記しておきましょう。
◆主な内容
・衛生面のルール
・服装、身だしなみ
・仕込み方法
・食材管理
・調理手順
・盛り付け
・調理器具の使用方法
・洗い物
・ゴミ出し
清掃マニュアル
店舗の清潔感を維持するために、店内やキッチン、トイレなどの清掃方法をマニュアル化します。特に、トイレ清掃ではチェックリストを活用し、誰がいつどこを清掃したのかを明確化して、作業漏れを防ぎましょう。
◆主な内容
・清掃箇所ごとの手順
・清掃用品の使い方
・チェックリスト
商品紹介マニュアル
スタッフは商品やメニューについて、詳しく理解しておく必要があります。例えば、何の食材が使われていてどのような味がするのか、おすすめポイントは何か、どれが人気商品なのか、などを紹介することができれば、お客様に商品の魅力が伝わり、売上アップにもつながります。
◆主な内容
・商品やメニューの詳細情報
・おすすめポイント
・人気商品
・アレルギーに関する情報
飲食店マニュアルの作成ステップ
1.運用方法を決める
まずはどのような形式でマニュアルを配布・閲覧するのか、運用方法を決めましょう。
例えば、参照しながら業務を進められるように冊子形式で配布したり、調理手順などを視覚的に理解しやすくするために動画マニュアルを活用するといった方法があります。
2.業務全体の流れを整理する
次に、先ほどご紹介した5種類のマニュアルごとに、それぞれの業務全体の流れを整理します。その際、時系列に沿って項目を並べたり、フロー図として視覚化するのがおすすめです。
例えば、接客マニュアルの場合は「予約の受付」→「お客様のお出迎え」→「席へのご案内」→「注文の受付」→「ドリンクの提供」→「料理の提供」→「会計」→「お見送り」といったフローが考えられます。
▼フロー図の作成方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
3.マニュアルの構成を設計する
Step2で整理した業務ごとに、具体的な手順やタスクを洗い出します。例えば、「注文を受ける」という業務では、「お客様の注文を聞く」「端末に注文内容を入力する」「注文内容を復唱する」「メニューを片付ける」といった流れが考えられます。
さらに、「端末の使用方法」「セットメニュー注文時の案内方法」「品切れ時の対応」といった細分化した業務内容をリストアップし、マニュアルに必要な情報を具体化しましょう。ここで作成する構成案は、目次のベースにもなります。
4.原稿を作成する
構成案をもとに、各業務の詳細な原稿を作成します。必要に応じてスタッフへのヒアリングも行うと、より実践的なマニュアルになります。
調理方法や盛り付け手順など、視覚的に伝えたい部分は、文章だけでなく写真や動画を活用するのがおすすめです。
5.フィードバックを受ける
マニュアルを全スタッフに配布する前に、第三者に内容を確認してもらいましょう。記載内容の漏れや曖昧な表現がないかどうかなど、理解しやすさをチェックしてもらい、フィードバックを受けることが重要です。
▼詳しいマニュアルの作り方は、以下の記事でご紹介しています。
まとめ
今回は、飲食店におけるマニュアルの作り方についてご紹介しました。
マニュアルは店舗全体の品質を保つために重要なツールです。業務の標準化や教育の効率化を通じて、顧客満足度の向上にもつながります。ぜひ参考にしてみてください。