新人の営業員が配属されたときに、指導担当者がいつも考えるのは、使える営業マニュアルがあればいいのにということでしょう。営業マニュアルがあれば、一貫した指導が行えますし、指導されるほうも繰り返し営業マニュアルを読むことで、知識がついていきます。
また、熟練の営業員のノウハウが営業マニュアルというかたちで残っていれば、それは企業の大きな財産です。
そこで、今回は使える営業マニュアルの作り方を解説しますので、マニュアル作りのご参考にしていただけると幸いです。
営業マニュアルの作り方の作業フロー
営業マニュアルはおおまかに、以下の7ステップで作成します。
Step.1 決定事項の洗い出しと整理
営業マニュアルを作成するときに決定しなければならない事項は以下の4つです。
営業マニュアルを作成する目的
営業マニュアルを作成する目的を明確にしましょう。
多くの企業の営業マニュアルを作成する目的は、販売活動における「調査」、「活動」、「納品」、「代金回収」、「記録」、「テクニック」、「事務処理」、「宣伝方法」、「クレーム対応」などに関するノウハウを社員が身につけ、効果的な販売活動を行えるようにすることです。
営業マニュアルを読む対象者
営業マニュアルを読む対象者を決定しましょう。熟練の営業員向けなのか新人向けなのかで、書き方や記載内容も変わってきます。
最重要項目など作成の優先順位
営業マニュアルにどのような項目を記載するのかを大まかに洗い出し、執筆の優先順位をつけましょう。
Step.3の予算と期間の兼ね合いで、営業マニュアルに記載できるボリュームが変わりますので、最低限記載すべき事項を明確にしてください。
営業マニュアル作成の担当者
営業マニュアルの作成担当者を決めましょう。
Step.2 関係者の協力を得る
営業マニュアルを作成するに当たり、経理関係や文書の編集技術などについて、他の部門の協力を仰がなくてはならない場合があります。あらかじめ協力を得るためのネゴを取っておきましょう。
Step.3 予算と作成期間の策定
営業マニュアルを作成する予算と作成期間を策定しましょう。
予算と期間はできれば、Step.1で優先順位をつけた項目から、最低限必要なものを作成する場合、ある程度十分なものを作成する場合、全てを網羅する場合の3パターンを策定できると、稟議にもかけやすくなります。
Step.4 フォーマットの作成
マニュアルの媒体を何するのか決めて、媒体に合わせたフォーマットを作成しましょう。マニュアルの媒体とは、冊子形式、データ形式、動画形式などです。
Step.5 マニュアルの執筆
アニュアルの執筆は、Step.1で洗い出した項目を含む目次の作成から始めます。過不足のない目次ができたらなら、目次に添って執筆を進めましょう。
執筆が終わったなら、Step.1で明らかにした目的に沿う内容になっているか、過不足がないかを有識者にレビューしてもらってください。
Step.6 メンテナンス・ルールを決める
マニュアルはメンテナンスしないと役に立たなくなります。メンテナンスのルールを決めて、改版履歴をつけながら、必要に応じてメンテナンスできる体制を作りましょう。
Step.7 改善フィードバック
営業マニュアルは使ってみると改善点が浮かび上がってきますので、定期的に1年に1度はフィードバックの機会を設けましょう。
営業マニュアルに記載したい事項
営業マニュアルには、主に以下のような項目を記載しましょう。
- 服装や身だしなみ
- 名刺交換のマナー
- 挨拶のマナー
- 商談時のマナー
- 商品の基礎知識
- トークフロー
- アプローチ方法
- 顧客管理の方法
- クレーム対応の方法
そのほかにも、営業マニュアルの目的や企業の特色に応じた項目を記載すると効果的です。
営業マニュアルを読んでもらうためには
マニュアルはとかく難しくて読みにくいものになりがちですので、読んでもらう工夫が必要です。読み手を飽きさせないためには、簡潔な文章を心がけ、要点を図やイラストにするなどの工夫をしましょう。
また、熟練の営業員向けに作成された営業マニュアルでも、マニュアルとなれば新しい営業員に配布することもしばしばありますので、専門用語や社内用語、略語の多用は避け、使用する場合は用語の解説をつけてください。
営業マニュアルのメンテナンス
営業マニュアルのメンテナンスのタイミングは2つあり、1つ目は実際にそのマニュアルを使って研修や営業活動が行われたあとで、改善点をフィードバックします。2つ目は年に一度の定期的な見直し時期で、営業方針の変更点や、蓄積した改善要望などを盛り込みます。
営業マニュアルの作り方のまとめ
執筆作業はマニュアル作りの一部でしかなく、目的の決定や記載項目の策定といったステップを踏んで初めて執筆が可能になります。
また、営業マニュアルは一度執筆して終わりではありません。改善点をフィードバックしたり、新たなノウハウを盛り込んだりしながら、洗練された完成形へと近づきますので、しっかりメンテナンスしていきましょう。
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