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マニュアル作成におけるヒアリングの進め方とは?流れと4つのポイントを解説

2025.12.10

マニュアル作成においてなぜヒアリングが必要?

マニュアル作成において、ヒアリングは欠かせない工程です。業務は担当者の経験や状況によって日々変化するため、「本来の手順」と「実際に行われている手順」にズレが生じているケースは少なくありません。

ヒアリングを通じて、以下のような情報を収集することができます。

  • 現場で実際に行われているリアルな作業手順

  • 担当者が無意識に行っている工程や判断
  • イレギュラー時の対応方法や判断基準

  • つまずきやすいポイントや注意点

  • 作業をスムーズに進めるためのコツ

 

こうした情報を正しく把握し、明文化することによって、「誰が読んでも迷わず作業できるマニュアル」が完成します。ヒアリングは、マニュアルの品質を大きく左右する、非常に重要なステップなのです。

▼マニュアルの作成方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

マニュアルの作り方とは?初めてのマニュアル作成に必要な7つのステップ

マニュアル作成で行われるヒアリングの種類

ヒアリングにはさまざまな形式があり、収集したい情報や業務の特性に応じて最適な方法を選びます。

個別ヒアリング(1対1)

担当者と1対1で行う、最も基本的なヒアリング形式です。相手が話しやすい環境を作れるため、手順や判断基準といった細かな情報も深く掘り下げられます。

一方で、担当者独自のやり方に偏ってしまったり、情報の抜け漏れが生じる可能性もあります。そのため、ヒアリング対象者の選定は慎重に行い、必要に応じて第三者への確認を行うなど、客観性を担保することが重要です。

グループヒアリング(複数人でのディスカッション形式)

担当者や関係者を複数名集め、ディスカッションしながら進めるヒアリング方法です。認識の違いや業務フローのズレが表面化されやすく、短時間で多くの情報を得られる点がメリットです。

ただし、特定の人だけが話していたり、発言していない人が出ないよう、対象者全員が発言しやすい場づくりが必要です。また、人数が多い場合は話題が散乱しやすいため、進行役(ファシリテーター)が情報を整理することがポイントになります。

現場に立ち会うヒアリング

実際の作業現場や画面操作を見ながら進めるヒアリング方法です。言葉で説明しにくい作業や、担当者が無意識に行っている工程も把握しやすくなります。

また、作業風景を観察することで、つまずきやすいポイントやミスにつながりやすい工程も発見しやすく、より実態に沿ったマニュアル作成が可能になります。必要に応じてスクリーンショットや作業風景を撮影し、マニュアルに掲載しましょう。

テキストベースのヒアリング(ヒアリングシートへの回答)

ヒアリングシートやフォームを送付し、記入してもらう方法です。相手の時間を拘束せず情報を集められるため、多忙な現場でも利用しやすいのがメリットです。

ただし、文章のみではニュアンスが伝わりにくかったり、認識のズレが生じる可能性があります。また、深掘りが難しいため、他のヒアリング形式と組み合わせることで、より正確に情報を集めることができるでしょう。

 

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ヒアリングの流れ

①目的を明確にする

ヒアリングを効率的に進めるためには、まずは「何のために情報を集めるのか」を明確にすることが重要です。目的をはっきりさせることで、質問内容やヒアリング方法がブレず、必要な情報を偏りなく効率的に収集することができます。

例えば、主に以下のような目的が挙げられます。

  • 業務改善につながる課題の抽出
  • 標準化すべき作業の洗い出し
  • イレギュラー対応の統一
  • 教育・引き継ぎに必要な情報の収集
  • 暗黙知の可視化
  • 業務フロー全体の整理

 

何のためにマニュアルを作成するのか、何のためにヒアリングを行うのか、を改めて明確にすることで、ヒアリングの質が大きく向上します。

②ヒアリング方法を決める

前章で紹介した4つのヒアリング形式から、収集したい情報や業務の特性に応じて最適な方法を選びます。

【例】

  • 情報を深掘りしたい → 個別ヒアリング
  • 業務フローのズレや標準化できていない項目を知りたい → グループヒアリング
  • 言語化しにくい業務、複雑なフロー → 現場に立ち会ったヒアリング
  • 多くの人から情報を集めたい、忙しくて時間がない → テキストベースのヒアリング+最小限の個別ヒアリング

 

③ヒアリング対象者を決める

業務を熟知している実務担当者を中心に、管理者や他部署の関係者など、多角的な視点から情報を得られるメンバーを選定します。

複数の立場から情報を集めることで、より正確な業務の全体像を把握することができます。

④ヒアリング項目の洗い出し・ヒアリングシートの作成

続いて、どのような内容をヒアリングするのか、ヒアリング項目をリストアップし、ヒアリングシートを作成します。業務フローに沿って時系列にまとめておくと理解しやすくなります。また、既存のマニュアルや関連資料がある場合は、事前にそれらも共有してもらい、目を通しておきましょう。

主なヒアリング項目の例としては、以下が挙げられます。

    • 業務の開始〜終了までの流れ
    • 承認・確認のタイミング
    • 使用するツール・システム
    • ファイルの保存場所・命名ルール
    • よくあるトラブルと対応方法
    • 例外処理の手順

     

  • ヒアリングシートは事前にヒアリング対象者に共有しておくと、相手も話す内容を準備しやすくなります。ヒアリングシートにはマニュアル作成の目的や概要なども添えておくとよいでしょう。
  • ⑤ヒアリングの実施

    ヒアリングシートをもとに、ヒアリングを実施します。聞き逃しがないように、録音・録画・メモなどを活用しましょう。

    質問例としては、以下のような項目が挙げられます。基本的にはヒアリングシートに沿って進行していきますが、回答内容に合わせて「この作業において注意点はありますか?」「○○の場合はどのように対応していますか?」といったように、詳細を深掘りしていきます。

    • 業務の開始〜終了までの流れを教えてください
    • 業務開始と終了のタイミングと判断基準を教えてください
    • 作業中に発生しやすいトラブルや注意点はありますか
    • 例外的なケースが発生した場合はどう処理していますか
    • どのツールやシステムを使っていますか
    • 新人がつまずきやすいポイントはどこですか
    • 書類・データの保管場所や命名ルールはありますか

     

  • 5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を意識しながら、曖昧な点はその場で深掘りしていきましょう。
  • ⑥ヒアリング内容の整理

    ヒアリングした情報を整理し、抜け漏れや矛盾、曖昧な情報がないかを確認します。フローが時系列でつながっているか、判断基準が明確かなどもチェックします。

    ヒアリング内容をもとに、自分が業務を迷わず進められるかをイメージしながらチェックするとよいです。

    ⑦担当者・管理者への事実確認

    整理した内容を担当者や管理者に共有し、認識の齟齬がないか、業務内容やフローが標準的なルールに沿っているか、誤った情報がないかなどを、客観的な視点から確認してもらいます。

    可能であれば、ヒアリング対象者だけでなく、管理者や別の担当者といった第三者にもチェックしてもらうことで、内容の正確性がより高まります。

    必要に応じて、追加のヒアリングも実施しましょう。

     

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    ヒアリング時の4つのポイント

    「説明しづらい部分」こそ深掘りする

    担当者が「なんて説明したらいいんだろう…」と迷う部分ほど、暗黙知が隠れているケースが多いです。こうしたポイントを丁寧に掘り下げることで、独自のノウハウや経験といった不明瞭なものを明文化することができ、現場に即したより精度の高いマニュアルに仕上がります。

    専門用語や略語は意味を確認する

    担当者間では当たり前に使われている言葉であっても、新人や他部署には伝わらないことがあります。また、人によって異なる意味で使っているケースもあるため、必ずその場で意味を確認し、誰が読んでも理解できる表現に置き換えましょう。必要に応じてマニュアル内に用語集を入れるのもおすすめです。

    例外・イレギュラー対応も確認する

    マニュアルにおいて重要なのが「イレギュラー対応」です。担当者が「普段はそのようなケースは少ない」と思っていても、例外的な事態が発生したときこそ判断に迷いやすく、マニュアル化しておくと安心です。「もし○○の場合はどうしますか?」と具体的にヒアリングし、判断基準や対応方法、緊急連絡先などを明確にしておくことが重要です。

    複数人の視点で確認してもらう

    担当者1名だけでは情報が偏ってしまう可能性があります。複数人からヒアリングを行ったり、第三者にチェックしてもらうことで、より客観的で正確なマニュアルになります。

    まとめ

    ヒアリングは、マニュアルの精度を左右する重要な工程です。現場の声を丁寧に拾い上げ、客観的に整理し、複数の視点で確認することで、より実践的で読まれるマニュアルになります。

    ヒアリングの流れを明確にし、仕組み化しておくことで、マニュアルの更新時にも役立ちます。
    「時間が取れない」「ヒアリングに自信がない」という場合は、専門のマニュアル制作会社に委託するのも一つの方法です。

    現場の知識をしっかりと明文化し、誰もが迷わず作業できるマニュアル作りを、ぜひ実務で実践してみてください。

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