業務を円滑に進めるためには欠かせないマニュアル。しかし、一度作成すればそれで終わりというものではありません。日々運用をしていくためには、その内容を読者全員が共有できなければいけませんし、マニュアルには業務内容の変更や新しい知見などの反映が必要になるため、定期的な改訂が求められます。
そこで本記事では、マニュアル改訂の重要性と具体的な手順、またマニュアル改訂をスムーズに行うためのポイントをご紹介します。
目次
なぜマニュアル改訂が必要なのか?
マニュアル改訂が必要な理由は、主に以下の3つです。
業務ミスやトラブルの防止
業務内容が変更されても、それがマニュアルに反映されていなければ、ミスやトラブルのリスクが高まります。ミスによって業務の質が下がれば、顧客からの信用を失ってしまうのはもちろん、顧客満足度の低下や従業員のモチベーション低下につながるおそれもあります。
マニュアルの形骸化の防止
マニュアルが現状に即していない場合、従業員の間で「このマニュアルは使えない」という認識が広がってしまい、利用されなくなることも考えられます。定期的に内容を見直すことで、マニュアルの有効性を維持することができます。
業務効率の向上
最新情報が反映されたマニュアルは、無駄な確認作業や迷いを減らし、業務効率を向上させます。また、マニュアルに記載される内容そのものだけでなく、図表や画像を更新することによって、読者の理解度も高まります。
マニュアルを改訂するタイミング
マニュアル改訂のタイミングとして、主に次の2つが挙げられます。
変更点が発生した際
業務フローやルールに変更が生じたら、速やかにマニュアルへ反映しましょう。
ただし、改訂の頻度が高すぎると現場への周知が行き届かなくなるおそれがあります。また、具体的にどの部分が改訂されたのかわかりにくくなり、バージョン管理が煩雑になるといった混乱を招いてしまうこともあります。
そのため、マニュアルを改訂する際には、「いつ」「どこが」「どのように」変更されたのかを明らかにしたうえで、一定の規模でまとめて改訂を行うのがよいでしょう。
定期的な見直し
誤字や脱字など、業務に大きな影響を及ぼさない軽微な修正であれば、四半期や半年ごとなど、あらかじめ決めたスケジュールに基づいて改訂を行うのがよいでしょう。
例えば、新年度は組織改編や業務変更が多いため、マニュアル改訂に適したタイミングと言えます。繁忙期なども参考にしながら、最適な改訂タイミングを決めましょう。
マニュアル改訂の手順
マニュアルを改訂する手順は以下のとおりです。
1.改訂箇所の特定
まずは改訂が必要な箇所を洗い出します。業務フローの変更だけでなく、現場からのフィードバックを収集し、不備や改善点を確認します。
改訂箇所を検討する際に注意したいのは、元のマニュアルとの整合性です。例えば、章や見出しのナンバリングなど、1か所を変更すると他の箇所に影響が出ることも考えられます。改訂箇所がある程度固まったら、一度全体を見直すようにしましょう。
2.改訂作業の実施と改訂履歴の作成
改訂内容が定まったら、実際に改訂作業に移っていきます。
マニュアル改訂を進める際には、ただ該当部分を修正するだけでなく、「いつ」「どこが」「どのように」変更されたのかを記録した改訂履歴を作成しましょう。以下の要素を含めると管理がしやすくなります。
バージョン
各改訂に番号を振ることで改訂履歴を管理しやすくなり、マニュアルの一貫性の確保や改訂履歴の追跡、問題解決の迅速化などが期待できます。例えば、「ver.3」や「v6.2」、「第3版」などのように記載します。
改訂日
改訂された日付を記載しましょう。改訂日が記載されることで、「いつ」改訂されたのが明らかになり、管理・運用がしやすくなるほか、業務の振り返りをする際にも便利です。
改訂者
誰が改訂したかを示すことで、マニュアルを運用するなかでトラブルが発生した際、誰に確認すればよいのかが明確になるため、マニュアルのスムーズな運用と更新ができます。
改訂内容
具体的にどのような修正が加えられたのかを明記しておくことで、「どこが」「どのように」改訂されたのかがわかります。また、なぜ改訂を行ったのか、その理由も明確にしておくと後の運用がスムーズになるでしょう。
承認者
改訂を承認した個人や部署を記載します。これにより、次回以降の改訂の際、誰に確認すべきなのかが明らかになります。
改訂作業をスムーズに進めるポイント
担当者とルールを明確にする
改訂を効率よく進めるために、改訂の担当者やルールを事前に決めておきましょう。マニュアルを制作する際は個人ではなくチームで取り組むのが一般的ですが、改訂の際も複数人で取り組むことで作業がスムーズに進みます。改訂頻度や内容の精査を複数人で行うことで、修正時のミスや抜け漏れを防ぐことができます。
▼マニュアル制作のポイントについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
形式と体裁の統一
マニュアルの形式がバラバラだと、改訂作業に膨大な手間と時間がかかります。統一されたフォーマットを採用することで、作業負担が軽減されます。
例えば、教育マニュアルと業務マニュアルをどちらもWordにするなど、社内でマニュアルの形式を統一することで、改訂時の確認の手間を軽減することができるでしょう。
オンライン共有の推奨
マニュアルをオンラインで共有し、社内ネットワーク上での閲覧を促進することで、各自がローカルに保存することで生じるバージョンの混在を防ぐことができます。常に最新のマニュアルを閲覧できる環境を作ることが重要です。
まとめ
マニュアルの改訂は、業務品質の向上やトラブル防止、業務の効率化に直結する重要な作業です。初めてマニュアルを作成する際から、定期的な改訂を視野に入れて運用体制を整えることが重要になります。
今回ご紹介したポイントを参考に、実用的で効果的なマニュアル改訂に取り組んでみてください。